日常の何気ない会話の中でも、ちょっとした工夫をするだけで相手に狙った答えをさせることができます。
会社経営者の多くは、こういったテクニックを意識してか、無意識でかは別として、使っていることが多いです。
あなたが会社経営者として生きていくためには、こういった方法も知っておく必要があります。
ご自身で使う時と、相手が使った時にそのテクニックを見破る時の両方で使えます。
人は質問の仕方によって、会話の内容の印象を変えることがあるのです。
これだけ言われても少し難しいと思います。
まずは、具体例を考えてみます。
ある商品で「この商品は今若者の間で人気です。」と相手に伝えたとします。
商談相手はこの商品を仕入れて売ろうかどうか考えているところです。
「この商品を100個仕入れませんか?」と続けます。
あなたが仕入れをする方だとしたら、どのように感じましたか?
おそらく仕入れないですよね。
今の世の中、簡単に仕入れを決めていいのか疑問です。
「若者に人気」と言うのもどこのデータで、どれくらい人気なのか、確認の必要があるでしょう。
ところが、同じことを言っているのに少しだけ質問の方法を変えます。
「今若者に人気のこの商品ですが、どこが気になりますか?」と聞きます。
あとでこの商品が気になったかどうか質問すると約40%の人が「気になる」と答えた実験結果があります。
結局買ってないじゃないか、と言われる方もおられるかもしれませんが、問題はそこではありません。
質問に前提となる要素を盛り込んでしまうのです。
さらに当たり障りのない、断りにくい質問を追加することで、相手のイメージをコントロールしているのです。
専門用語的には「ワーディング」と言います。
社内で誰かライバルの印象を悪くする場合は「この前もあいつは部長に怒られていたけど、おまえはあいつのどこがダメだと思う?」とフルことで、人によっては悪いところを洗い出して、改善させようとしている前向きな質問にも思えます。
ところが、前半部分の「この前もあいつは部長に怒られていたけど」は大前提として話に入っているので、多くの人は疑問に思わないのです。
あいつは部長に怒られていたんだ、と勝手に思い込んでくれるのです。
他にも「この意見、部長は賛成してくれたけど、お前は賛成?」とフレば反対するのが難しくなるのです。
逆に部長の方には「部内はこの意見に賛成と固まるまで少し時間がかかりましたが、部長はすぐに賛成と判断できますか?」と質問することで、本来「賛成/反対」の答えを引き出す質問ですが、会話のコントロールで「判断は早い/遅い」に切り替えることができるのです。
心理学のテクニックを使った恐ろしい会話のコントロール方法です。