粗悪品が多くなっていた醤油の作り方を昔ながらに戻して、大成功した成功例を見てみましょう。
本来の醤油の作り方
本来、醤油は大豆と小麦、食塩、麹だけで作るものでした。
戦時中の醤油の作り方
戦時中は物資が不足しました。
大豆を手に入れるのも一苦労でした。
そこで、油を搾った後の大豆の絞りかすに、塩酸をかけて分解させ、アミノ酸にし、それをベースに醤油を作ったのです。
厳密には、醤油ではないので、「醤油っぽいもの」を作っていました。
足りない味や色などは添加物です。
醤油1本から、醤油っぽいものを10本以上作ることができると言う錬金術です。
しかも、本当の醤油づくりが1年かかるところが、醤油っぽいものは1か月未満で出来てしまいます。
戦争は終わり、何十年も経過しましたが、この醤油っぽいものは、安く作れるので、作られ続けました。
キッコーマンの功績
1980年代に地方の企業だったキッコーマンが、本来の丸大豆を使った醤油を商品として投入しました。
1987年にプロジェクトを立ち上げ、本来の醤油の作り方を復活させ、商品開発を行いました。
数年かかり、1990年に400円で「特選 丸大豆しょうゆ」を発売しました。
この価格設定は、従来の物よりも30%ほど高価な商品でした。
キッコーマンは、この特選丸大豆しょうゆをギフト用の商品として、箱に入れてラインナップしました。
それにより、「キッコーマン、特選丸大豆しょうゆは高級品」と言う認識が日本中に広まりました。
人々に、キッコーマンの特選丸大豆しょうゆはいい商品、高級品、と意識付けさせたのです。
その後は、高くても特選丸大豆しょうゆを人は買うようになったのです。